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地域密着型不動産の「Brand+ing」に各種デザイナーが集結!自社サイトを通してブランド発信していく、その可能性は無限大

東京・渋谷区千駄ヶ谷で事業を展開する地域密着型の不動産会社、有限会社リッツウェルのコーポレートサイトリニューアルプロジェクト。乱立する近隣の競合不動産会社との差別化を図り、安心感や信頼感を醸成するWebサイトを構築するためのブランディング施策を行いました。ここでは競争優位や強み、事業のゆく先や大切にしている志を明確化したコーポレートサイトができるまでのストーリーをお届けします。


[designers]

  

  



目次[非表示]

  1. 1.コーポレートサイト制作の依頼の中、事業内容や事業領域、強みや大切にしている志を明確にする必要性を感じ、ブランド構築を提案
  2. 2.ブランド構築において、問題解決までのアプローチーその流れから結論に至るまで
  3. 3.クライアントの思いである「顧客対応の最中に現れる無償対応の数々を価値あるものに変えたい」を実現するべく、ブランドマーケティングを実施
  4. 4.ブランドマーケティングにおいての基本フローを実践し、事業戦略を立案
  5. 5.Webサイト制作にあたり、策定された強みや競争優位、事業戦略を踏まえ、多方面から調査・分析をし、コンセプトを設定
  6. 6.主観的な好みではなく、「ターゲットに伝わる」デザインを提案
  7. 7.地域密着型不動産会社が、自社サイトを通して、ブランドメッセージを広く発信していく。その可能性は無限大
  8. 8.お客さまの声



コーポレートサイト制作の依頼の中、事業内容や事業領域、強みや大切にしている志を明確にする必要性を感じ、ブランド構築を提案


A.Tanomura: このプロジェクトは、元々は単純に自社サイトをリニューアルしたい、という依頼だったんですよね。


M.Osawa: そうですね。今回の依頼者であるリッツウェル社の社長へヒアリングをする中で、想いや強みなどを明確にする必要性を感じ、企業独自の特徴や魅力を言語化する旨の提案をしました。最初は地域密着型の小さな不動産会社だからと、言語化することの必要性にまだ疑問符が残る状況ではありましたが、やりとりをしていく中で事業のゆく先や不動産業に対して、自身の想いの整理と表現の重要性に意義を見出され、言語化することに前向きになられたようです。


A.Tanomura: 中小企業こそブランドの構築が必要なんですよね。そもそも中小企業で取り組んでいる会社が少ないので、伸びしろも期待できますし、他の中小企業と差別化ができますね。地域密着の業態をとっている中小企業であれば、広範囲をビジネスの対象としている大企業とも差別化することが可能になります。



ブランド構築において、問題解決までのアプローチ
ーその流れから結論に至るまで


A.Tanomura: 企業独自の特徴や魅力を言語化するために、社長にご協力いただきながら次の3ステップを行いました。


1. ヒアリング
2. 事業内容・事業領域・USP・理念の設定
3. ビジョン・ミッション・パーパス・コアバリュー・ブランドメッセージの決定


各ステップでの実践内容について、少し説明したいと思います。


1. ヒアリング

ブランド構築をするにあたり、社長の「志」と「強い意志」が必要となります。ステークホルダーにとってどんなブランドでありたいか、という志は、社長の想いなくしては成り立ちません。それらを明確にするために、ビジネスのみならず、事業の成り立ちや社長の生い立ち、スタッフとの関係性などについてもヒアリングしていきました。


ヒアリングシートの一部


2. 事業内容・事業領域・USP・理念の設定

このステップでは企業やブランドと顧客・消費者との関係性を明確にし、競合に対する優位性を得るために自社の強みを明らかにしました。
「誰に」、「何を」、「どのように」提供していくのか、企業がカバーする事業の領域を定義し、自社サービスとブランドを競合他社と差別化するために具体化し、分かりやすく伝えるスローガンやメッセージを策定しました。


事業領域の定義


ブランドのポジショニング


3. ビジョン・ミッション・パーパス・コアバリュー・ブランドメッセージの決定

地元密着型の不動産会社として、成し遂げたい目標や目指す方向など、社会に対する存在意義を明文化しました。そうすることで社内外での共通認識をつくることができ、ブレない経営判断、目標設定、方針策定が可能になり、インナーコミュニケーションにとどまらず、幅広いステークホルダーへ具体的な企業イメージを発信することができます。




クライアントの思いである「顧客対応の最中に現れる無償対応の数々を価値あるものに変えたい」を実現するべく、ブランドマーケティングを実施


M.Osawa: 不動産会社の管理業を例とした顧客対応場面では、修繕手配や賃貸料の入出金管理、入居者トラブル対応などをしていると、物件オーナーから資産運用や所有物件の譲渡に関わる税金についてなどの相談を受けることがあります。“不動産”というものを通じてより良い資産運用をするために成長できる価値があるにも関わらず、管理を請け負っている関係で無償対応の中で柔軟に対応せざるを得ない状況が生まれてることが、社長のヒアリングの中で垣間見えました。「新しいサービスを構築することで、無償対応の数々を価値あるものに変えることができたら」。その想いからブランドマーケティングを提案しました。


A.Tanomura: マーケティングが「売れる仕組みづくり」なら、ブランドマーケティングは「売れ続ける仕組みづくり」になるので、マーケティングの上位概念として位置する活動となりますね。これまで無償で対応していたものを急に有償に変えることは難しいかもしれませんが、周辺環境を知識として抑えていけば、こちらの見せ方を変えていくことで、ユーザーも徐々に捉え方を変えていくのではないでしょうか。



ブランドマーケティングにおいての基本フローを実践し、事業戦略を立案


M.Osawa: 新しいサービスを構築するにあたり、構成でいくと「新規事業立ち上げ支援」や「サービスデザイン」に分類される「事業環境分析」と「新事業コンセプトアイデア案出し」を、次の3ステップで行いました。


1. 環境調査(自社・競合・市場)
2. ターゲティングとポジショニング(STP)
3. ユーザーとのコミュニケーションでブランドイメージ醸成を図る(マーケティングミックス)


各ステップでの実践内容について、少し説明したいと思います。


1. 環境調査(自社・競合・市場)

環境を知る

環境調査を行うことで、自社の環境や自社を取り巻く環境を分析し、顧客ニーズや自社の強みや弱み、競合の動きを分析することによって、最適な意思決定につなげます。
結果、リッツウェルさまの事業ターゲット(範囲)において、ブランディング1.0(自社らしさのカラーや見た目の世界観)に力を入れる企業が増え始めており、コンサルティングを事業範囲とする競合ブランドは手広く事業展開している傾向にある中、一等地の魅力に惹かれたユーザーへの直接的な訴求ができていないことがわかりました。


KFS(重要成功要因)を見出す

リッツウェルさまは少人数で会社経営をされていることから、一等地ならではの投資・資産運用に着目した不動産コンサルティングを展開して事業拡大するのではなく、対応可能範囲にエリアを限定したパフォーマンスアップを目指すことをKFSとして定義しました。



2. ターゲティングとポジショニング(STP)

KFSを鑑み、ブランドイメージとシンクロする相手を見つけ、アプローチの現実性を探る

千駄ヶ谷という土地柄もあり、「一等地に住みたい」「一等地の資産活用を知りたい」と考える40代以上の富裕層や、同地域に重複して不動産保有をする人口が多く、エリア限定での魅力伝達に加え、ビジネスシーンで周辺に通う上流階級層に着目しました。


ターゲット顧客にとっての差異化要因を見出す

リッツウェルさまは長きにわたり千駄ヶ谷エリアに根付いた不動産業を営まれいるので、地域の情報に詳しく、地元の人たちとも深いつながりがあります。また、管理している建物の内情を詳細まで理解していることから、次のような差異化要因(ポジショニング)を見出しました。


・不動産課題として圧倒的に多い相続を起点とした一等地ならではの悩みを解消することで、千駄ヶ谷やその近辺の不動産を所有しにくいイメージを打破できる


・相続対策などの内部解決をすることで、千駄ヶ谷やその近辺の不動産に価値を感じてもらえる



A.Tanomura: 地域を限定しているからこそ、細部に至る情報をお持ちですし、コミュニケーションが取りやすい。まさに地域密着型不動産であるリッツウェルさまならでは、ですね。


3. ユーザーとのコミュニケーションでブランドイメージ醸成を図る(マーケティングミックス)

M.Osawa: マーケティングミックスは、社内のツールやユーザーに向けたコンテンツなど、 いわゆるアウターやインナーに向けたコミュニケーションを設計・体現していく目的で行い、ブランドイメージ醸成を図る手段として、コーポレートサイトを制作する形となりました。
ブックマークとしては、他の施策も提案したいところでしたが、前述の通り、リッツウェルさまの対応可能範囲にエリアを限定したパフォーマンスアップを目指すことから、今回はWebサイト制作にとどまりました。



Webサイト制作にあたり、策定された強みや競争優位、事業戦略を踏まえ、多方面から調査・分析をし、コンセプトを設定


Y.Watanabe: 私はWebサイト制作のディレクション担当でしたが、これまで行ったブランド構築、ブランドマーケティングでの結果をふまえた上でコーポレートサイトの方向性などを決定する必要がありました。そのため、関連する全ての資料を確認し、策定された強みや競争優位、事業戦略を踏まえ、多方面から調査・分析をし、ヒアリングシートなどから自分なりにキーワードを抽出しました。その上でコンセプトや方向性を設定し、必要だと思われるコンテンツ要素を集め、サイトマップにまとめて提案しました。



ページごとのコンテンツ要素がある程度わかるよう工夫して作成したサイトマップ。
シンプルな構成の中でもユーザーの使いやすいUIデザインを目指して作成した。


S.Terai: 不動産会社のWebサイトに必ずと言っていいほどある物件情報の掲載をするかについては、リッツウェルさまと一緒にかなり悩みましたね。


Y.Watanabe: そうですね。物件紹介が中心のWebサイトは“集客のためのWebサイト”と思われがちです。そのため、リッツウェルさまの思う、“自社のブランドや強みを生かした信頼を得られるコーポレートサイト”を構築するために、物件情報は一切掲載しない方向で進行していましたが、最終的には、限定的に掲載することになりました。やはりインターネット上で物件情報を提供すれば利便性も向上しますし、一件一件を丁寧に分かりやすく紹介することで、ユーザーのリッツウェルさまに対する安心感や信頼感を構築できるのではないか、と考えたのが理由です。



主観的な好みではなく、「ターゲットに伝わる」デザインを提案


Y.Watanabe: デザインを決める際に、企業やプロジェクト担当者の主観的な好みや多数決で決められてしまうことがありますが、本来はターゲットに与えるべきイメージがしっかり伝わるデザインを選ぶべきです。本プロジェクトではそういった齟齬が生じないよう、次の4つのプロセスで提案を行いました。


1. ターゲットの心理や感性を明確に
2. ブランドイメージからトーン&マナーを決定
3. 参考サイトから共有パターンを掴む
4. 技術的なトレンドと普遍的なセオリーをおさえる


各ステップでの実践内容について説明したいと思います。


1. ターゲットの心理や感性を明確に

まずはターゲットの特性に合わせるため、ペルソナを設定することでターゲット像を明確にしました。ペルソナとは、商品やサービスを提供する際の主な顧客層を具体的にイメージするための架空の人物像です。性別や年齢層だけでなく、学歴や職歴、ライフスタイル、家族構成、趣味や特技、価値観など、あらゆる属性を検討し、実際にそのような人がいるとイメージできるような具体的な人物像を設定します。



2. ブランドイメージからトーン&マナーを決定

ここでは企業のブランドに関連したキーワードを抽出してイメージスケール上でのポジショニングを行いました。ターゲットに思ってもらいたい印象や与えたいイメージに優先度をつけることで、トーン&マナーの方向性を決定しました。



イメージカラーに関しては、ポジショニングにより抽出されたカラーと、クライアントCIカラー(ロゴカラー)を使用することが決まりました。


3. 参考サイトから共有パターンを掴む

制作者自身が提案したいデザインや顧客が求めるデザインではなく、「ターゲットの視点を基準とした」リッツウェルさまとビジネススタイルが類似する企業のサイトを参考として選び、ポジショニングを行いました。



4. 技術的なトレンドと普遍的なセオリーをおさえる

「ごちゃごちゃして見えるデザインや余計な機能は不要。とにかくシンプルで良い。」というのがリッツウェルさまの当初からの要望でした。そんなお客さまからの要望を反映しつつ、トレンドに従うのではなく、技術的な時代背景と使いやすさ(UI)の基本をおさえ、実現するための提案を行いました。


全ページのワイヤーフレーム


Y.Watanabe: デザインの方向性の決定後は、実装までの具体的なページ設計に落とし込むためのワイヤーフレーム作成から素材開発へ進みました。素材開発をするにあたっては、不動産や取扱物件などを理解する必要があったので、必要に応じて物件を見学させてもらったり、事務所へお伺いして資料を見せていただいたりと、何度もご協力いただきましたね。


S.Terai: そうでしたね。ビジュアルもテキストについても信頼性をターゲットにしっかり伝えられる内容にしたかったので、社長に何度かお時間をいただく形になりました。社長ご自身もいくつかこだわりを持たれていたことがあり、その中でもWebサイト掲載用の写真については社長ご自身で撮りに行かれていました。良い写真をたくさん納品いただいたので、トップページや2階層目以降のキービジュアルなどに採用させていただきました。


Y.Watanabe: ある程度素材が集まってからXDでサンプルデザインをつくったかと思いますが、UXを考慮しながらもしっかりとデザインをつくり込んでくれましたね。


S.Terai: トップページの、特にファーストビューの見え方や第一印象はどうか、ページをスクロールしたときの印象はどうか、コピーや本文を読みたい気持ちになってくれるか、写真や装飾は適切か、ユーザーがストレスなく求める情報に辿り着けるかなどを確認しながら具体的なデザインに落とし込んでいきました。


トップページのキービジュアルとブランド構築により明文化されたブランドメッセージ


不動産相談のページで、「無償対応の数々を価値あるものに変えたい」クライアントの思いを実現するべく構築された新サービスについて掲載。信頼性の向上、理解の促進を図るため、課題を解決した事例についても写真付きで掲載している


地域情報のページでは、千駄ヶ谷とその周辺についての魅力から暮らしに関する情報が満載。エリアマップはブックマークでゼロから書き起こした完全オリジナル



地域密着型不動産会社が、自社サイトを通して、ブランドメッセージを広く発信していく。その可能性は無限大


S.Terai: リッツウェルさまの“ならでは”をつくることからスタートし、その後いくつものステップを経てできたコーポレートサイトは、コンテンツ内容から表層デザイン共に、安心感や信頼感を醸成する内容になりましたね。


Y.Watanabe: リッツウェルさまは、社長の地元である東京・渋谷区千駄ヶ谷を中心に、長年不動産業を営んできました。地域密着型の小さな不動産会社ですが、コーポレートサイトを通してなら広範囲に渡りブランドメッセージを発信することができるし、たくさんの人に自社の魅力を伝えることができますね。ファンが増えるかもしれないし、それが将来的には地元のコミュニティーに寄与し、地域活性化につながるかもしれない。
ビジネスにおいてもその可能性は無限大ですね。



お客さまの声


最初は弊社のような小規模の会社に理念なんていらないのではないかと思っていましたが、コアバリューを提案いただいたときに、「あまのじゃく」と言われてしまうような自分の性格/信念を「思慮分別」というポジティブな言葉に置き換えてくれ、それが自分にピッタリな言葉だと感じました。そこからブックマークさんへの期待感が高まったことを今でも鮮明に覚えています。
プロジェクト進行中は常にコミュニケーションを大切にしてくださり、その中で要望もしっかり汲み取ってアウトプットしていただき、「リッツウェルならでは」が詰まったコーポレートサイトをつくっていただきました。社内外問わず大好評をいただいています。


クライアント名:有限会社リッツウェル
    URL:https://ritz-well.co.jp/



─ F I N ─


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